【ミライデンタルクリニック監修】
「歯並びをきれいにしたいけど、ワイヤー矯正には抵抗がある」
そんな方に人気なのがマウスピース矯正です。
透明で目立ちにくく、取り外し可能という利便性から、多くの方に選ばれています。
一方で、「ちゃんと効果が出るの?」「適応しないケースもあるって本当?」という疑問や不安を持つ方も少なくありません。
この記事では、マウスピース矯正の基本からメリット・デメリット、注意点まで、歯科医師がわかりやすく解説します。
マウスピース矯正ってどんな治療法?

マウスピース矯正とは、透明な取り外し可能な「マウスピース(アライナー)」を使って歯並びを整える矯正治療です。
従来のワイヤー矯正と異なり、装着中も目立ちにくく、食事や歯みがきの際には簡単に取り外しができるため、見た目と快適さの両立が可能です。
透明で目立たない?マウスピース矯正の仕組み

マウスピース矯正は、透明で目立ちにくいマウスピース型の装置を装着し、定期的に交換しながら少しずつ歯を動かしていく矯正方法です。
装置は取り外し可能で、見た目にも自然なため、多くの方に選ばれています。
仕組みのポイント
- マウスピースの「ズレ」が矯正力を生む
-
動かしたい歯の部分が、少しだけ理想の位置にズレた形状で作られたマウスピースを装着します。
そのズレが歯に圧力をかけることで、歯が少しずつ移動していきます。
- 歯根膜の働きで歯が動く
-
歯は骨に直接くっついているわけではなく、「歯根膜」というクッションのような膜で支えられています。
マウスピースの圧力で歯根膜が片側で縮み、反対側で伸びることで、骨が吸収・再生を繰り返しながら歯が動いていきます。
- 段階的にマウスピースを交換して矯正を進める
-
矯正中は1〜2週間ごとに形状の異なるマウスピースへと交換しながら、徐々に歯を理想の位置へと近づけます。
全体矯正では、一般的に40〜50枚前後のマウスピースを1年〜2年で使用することが多いです。
マウスピース矯正のメリット
- 透明で目立ちにくく、気づかれにくい
- 取り外しができるので、食事や歯みがきも快適
- ワイヤー矯正に比べて口内の違和感が少ない
このように、マウスピース矯正は見た目にも優れ、身体への負担も比較的少ない矯正方法として、近年注目を集めています。
装着中も気づかれにくく、取り外しもできるため、見た目を気にする方や忙しい方にもぴったりです。
ワイヤー矯正との違い

マウスピース矯正は、ワイヤー矯正とくらべて「見た目が自然」「痛みが少ない」「取り外せる」などの理由から選ばれることが多い治療法です。
では実際に、どんな違いがあるのか見てみましょう。
◾️ 見た目はどう?
ワイヤー矯正は金属やセラミックの装置が歯の表に付くため、口を開けると矯正していることがすぐに分かってしまいます。
一方、マウスピース矯正は透明で目立ちにくいので、周りの人に気づかれにくいのが特徴です。
◾️ 痛みやつけ心地は?
ワイヤー矯正は力を強くかける分、痛みが出やすいことがあります。
マウスピース矯正は、やさしい力で少しずつ動かすため、痛みが比較的少ないといわれています。
◾️ 食事や歯みがきはどうする?
ワイヤー矯正は装置がついたままなので、食べ物が挟まったり、歯みがきがしにくかったりします。
マウスピース矯正は、食事のときに外せるのでストレスが少なく、歯も磨きやすいのがうれしいポイント。
◾️ 通院のペースは?
ワイヤー矯正は毎月の調整が必要ですが、マウスピース矯正は通院回数が少なく済むこともあります。忙しい方にはありがたいですね。
◾️ どんな人に向いているの?
すべてのケースにマウスピースが合うわけではありません。
歯のズレが大きい場合や複雑な症例では、ワイヤー矯正の方が向いていることもあります。
まずは歯科医師に相談して、自分に合った方法を見つけましょう。
マウスピース矯正の種類
マウスピース矯正にも、実は様々な種類やブランドがあります。
主なブランドと特徴は以下の通り。
ブランド名 | 発祥 | 対応できる歯並び | 特徴 | 費用感の目安 |
---|---|---|---|---|
インビザライン | アメリカ | 軽度〜重度まで対応 | 世界的に有名で実績豊富。AIによる精密な治療計画。 | やや高め |
クリアコレクト | アメリカ | 軽度〜中等度 | インビザラインに似ていて価格がやや抑えられている | やや安め |
キレイライン | 日本 | 軽度(前歯のズレなど) | 比較的リーズナブル。短期間で整えたい人に適している | 安め |
アソアライナー | 日本 | 軽度〜中等度 | 国内製造で調整がスムーズ。通院対応も柔軟 | やや安め〜中間 |
それぞれの矯正ブランドは、対象となる歯並びの状態や費用感、通院頻度、対応スピードなどに違いがあります。
精密検査を受けて自分の状態を把握し、ライフスタイルや希望に合った治療法を選びましょう。

マウスピース矯正のメリット・デメリット

マウスピース矯正は、多くの利点がある一方で、注意すべき点も存在します。
メリット | デメリット |
---|---|
目立ちにくい 取り外しができて衛生的 痛みが少なめ 金属アレルギーの心配がない 通院回数が少なくて済む 治療後のシミュレーションが見られる | 自己管理が求められる 紛失・破損のリスクがある 適応できない症例がある 費用が高くなることがある 慣れるまでは違和感がある |
ここでは、治療を始める前に知っておきたい「メリット」と「デメリット」を整理して紹介します。
マウスピース矯正のメリット
- 目立ちにくい
透明なアライナーは装着していてもほとんど目立たず、周囲に気づかれにくいのが特長。
人前に出る仕事や学生生活でも見た目のストレスが少なくて済みます。 - 取り外しができて衛生的
食事や歯磨きの際に自由に取り外せるため、口腔内の衛生管理がしやすいのも大きな利点です。
アライナー自体も洗浄でき、清潔に保つことができます。 - 痛みが少なめ
従来のワイヤー矯正に比べて、比較的弱い力で歯を動かすため、痛みが少ないと感じる方が多い傾向にあります。 - 金属アレルギーの心配がない
金属を一切使わないため、金属アレルギーの方でも安心して治療を受けることができます。 - 通院回数が少なくて済む
治療の進行にあわせて事前に複数枚のアライナーが渡されるため、ワイヤー矯正と比べて調整のための通院が少なくて済みます。 - 治療後のシミュレーションが見られる
治療開始前に最終的な歯並びの予測画像を確認できるため、治療のゴールを明確にイメージできます。
マウスピース矯正のデメリット
- 自己管理が求められる
1日20時間以上の装着が推奨されており、装着時間を守れないと治療効果が出にくくなります。
自分でしっかり管理する意識が重要です。 - 紛失・破損のリスクがある
取り外し可能な分、うっかり紛失してしまったり、踏んで壊してしまうと再製作が必要になることもあります。 - 適応できない症例がある
重度の不正咬合や骨格に由来する問題など、一部のケースではマウスピース矯正が適していないこともあります。
歯科医師の判断が必要です。 - 費用が高くなることがある
アライナーは患者ごとにオーダーメイドで多数作製されるため、治療期間や症例によっては費用が高くなることもあります。 - 慣れるまでは違和感がある
装着初期やアライナー交換時には、締めつけ感や軽い痛み、発音のしにくさを感じることがあります。
特に「さ行」や「た行」の発音に違和感を覚える方も。
マウスピース矯正が向いているのは?

マウスピース矯正は、すべての人に適しているわけではありません。
ここでは、どのような人に向いているか、また注意すべき症例について解説します。
こんなお悩みの場合におすすめ
マウスピース矯正は、軽度〜中等度の歯並びの乱れに悩む方におすすめです。
たとえば以下のようなお悩みがある方には特に向いています。
- すきっ歯
- 軽度の出っ歯・受け口
- ガタガタした歯並び(叢生)
- 部分的な歯並びの改善を希望する方
さらに、装置の見た目が気になる方や人前に出る仕事をしている方など、目立ちにくさを重視する方にも人気です。
加えて、「毎日の装着時間(20時間以上)をしっかり守れる自己管理ができる人」というのも、マウスピース矯正に向いている大切な要素でしょう。
症例によっては難しい場合も
マウスピース矯正は、誰にでも適用されるというわけではありません。
以下のようなケースでは、適応外となる可能性があります。
- 重度の歯並びの乱れ(歯の移動量が大きい症例)
- 骨格的な問題がある(上下のあごのバランスが大きく崩れている)
- 抜歯を伴う複雑な矯正が必要
- 顎関節症など、歯並び以外の問題がある場合
- 重度の虫歯・歯周病が進行している
- 装着時間を守るのが難しいライフスタイル
重度の歯並びの乱れや骨格的な問題が大きい場合、また抜歯が必要な複雑な症例の場合は適用が難しくなります。
顎関節症などの歯並び以外の問題を抱えている人もマウスピース矯正が適用されないかもしれません。
また生活上装着時間を守ることができない人や、虫歯や歯周病が重度の場合なども適用不可となるでしょう。
マウスピース矯正だけでは改善が難しという場合でも、ワイヤー矯正など他の治療との併用すれば可能になることもあるので、しっかりと歯科医に相談してみましょう。
マウスピースの治療の流れを解説

マウスピース矯正は、一般的なワイヤー矯正治療とは少し異なる流れで進みます。
ここでは、治療のステップをわかりやすくご紹介します。
まずは歯科医院で、歯並びやかみ合わせについて相談します。
多くのクリニックでは、無料のカウンセリングを実施しているので、気軽に受けてみましょう。
カウンセリングでは、現在の歯並びの状態を確認し、マウスピース矯正が可能かどうか、かかる期間や費用などを教えてもらえます。
ミライデンタルクリニックは初回無料相談を実施しています。
初回の相談で、歯科医師に直接質問することができるので、矯正治療について気になることがあればぜひカウンセリングを受けてみましょう。
その後、口腔内スキャン・レントゲン・写真撮影など、精密検査を行い正確なデータを取得します。
このデータをもとに、理想の歯並びに向けた治療シミュレーション(治療計画)を立てていきます。
検査が終わると、シミュレーション画像を使って治療内容の説明があります。
どのように歯が動いていくか、最終的な歯並びのイメージをここで確認できます。
納得できたら、アライナーの枚数、治療期間、費用の見積もりを受けて、治療を始めるか決めましょう。
治療が決まったら、専用のオーダーメイドアライナーを作成します。
アライナー装着時には、必要に応じて次の処置を行います。
- アタッチメントの装着(歯の表面に小さな突起をつける)
- IPR処置(歯の表面を少しだけ削る)
その後、毎日20時間以上の装着が必要です。
食事や歯磨きの時以外は、基本的にずっとつけておくことになります。
マウスピース矯正では、1〜2週間ごとにアライナーを交換し、少しずつ歯を動かしていきます。
通院頻度は1〜3か月に1回ほどで、進み具合のチェックや次のアライナーの受け取りを行います。
もし予定どおりに歯が動いていなければ、計画の微調整や追加の処置を行うこともあります。
計画通りに歯が移動したら、矯正治療(歯を動かす期間)は終了です。
ここからは歯並びが元に戻る「後戻り」を防ぐため、保定装置(リテーナ―)を装着する期間に移行します。
- リテーナーの種類:マウスピース型 or ワイヤー型(歯科医と相談)
- 装着期間:矯正期間と同じかそれ以上(例:治療3年 → 保定も約3年)
この期間も、歯並びが戻らないよう、しっかり装着を続けることが大切です。
いくらかかるの?気になるマウスピース矯正の費用

マウスピース矯正にかかる費用は、治療の範囲や歯科医院によってさまざまです。
ここでは相場や内訳、支払い方法などを詳しく解説します。
一般的な治療費の相場
マウスピース矯正は、基本的には自由診療となり、保険は適用外です。
費用の相場は、歯の状態や部分的な矯正なのか全体の矯正なのかで変わります。
- 部分矯正(前歯のみなど):30万〜70万円程度
- 全体矯正:70万〜100万円程度
※金額はあくまで目安で、歯科医院によって変動します。
また使用するマウスピースの種類や治療範囲、治療の難易度によっても変わります。
追加のアライナーが必要な場合に別途料金がかかる場合や、通院ごとの調整に費用がかかる歯科医院もあるので、カウンセリングの際にしっかりと確認しておきましょう。
治療費に含まれるものは?
自由診療なので、治療費に含まれるものと含まれないものは、歯科医院によって異なります。
一般的には以下のように設定している歯科医が多いですが、事前に通う歯科医院に確認しましょう。
治療費に含まれることが多い項目 | 別途費用がかかる可能性がある項目 |
---|---|
精密検査(レントゲン・口腔内スキャンなど) 治療計画作成・マウスピース(アライナー)代 基本的な通院費(定期チェック・経過観察など) | リテーナー(保定装置)の費用 追加マウスピース代 通院ごとの調整料(クリニックによって異なる) |
なお、すべての費用を含んだ「トータルフィー制(パッケージ料金)」を採用しているクリニックもあります。
対して個別に追加料金が発生するプランもあるため、治療開始前に費用内訳をしっかり確認しておくことが重要です。
特に、途中でのアライナーの再作成や保定期間に関する費用は見落としやすいので注意しましょう。
デンタルローンと分割払い
マウスピース矯正などの自費診療では、現金での一括払いのほかに、分割払いにも対応している歯科医院が多くあります。
その中でも代表的なのが「デンタルローン」です。
デンタルローンとは?
- 矯正治療やインプラントなどの高額な自由診療費用を分割で支払うためのローンです。
- 医療費専門のローン会社が提供しており、歯科医院を通じて申し込む場合が多いです。
- 審査は必要ですが、多くの歯科医院で取り扱いがあり、学生や主婦でも申し込める場合があります。
歯科医院によってはクレジットカードが利用できる場合もありますが、高額な支払いになるのでお手持ちのクレジットカードの限度額を確認しておく必要があります。
いずれの支払い方法も、医院によって対応状況が異なります。
初回カウンセリング時にしっかりと確認しておきましょう。
医療費控除の対象になる可能性も
マウスピース矯正にかかった費用は、条件を満たせば医療費控除の対象になることがあります。
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に税金が戻ってくる制度。
審美目的の矯正治療であれば対象にはなりませんが、かみ合わせの改善などの治療目的と診断されれば対象となる可能性があります。
- 対象となる例:かみ合わせや発音の改善、成長発育に関連した治療など
- 対象外となる例:審美目的(見た目だけを改善する目的)のみの治療
控除を受けるためには、領収書や医師の診断書を保管しておく必要があります。
矯正治療の領収書や、機能改善目的であることがわかる医師からの診断書などを保管しておきましょう。
詳細は国税庁の「医療費控除」に関するページを確認するか、税務署に相談してみましょう。
マウスピース矯正の疑問を解消!よくある質問(FAQ)

マウスピース矯正を始めるときは、不安や疑問がつきものです。
ここでは、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をわかりやすくまとめました。
まとめ:マウスピース矯正で「目立たず」キレイを叶えよう!

マウスピース矯正は、従来のワイヤー矯正と比べて目立ちにくく取り外し可能で、日常生活に取り入れやすい矯正方法です。
キレイな歯並びは、見た目だけでなく全身の健康にも良い影響を与えてくれます。
矯正をしたいけれど、ワイヤーが目立つことに抵抗がある人は、マウスピース矯正を考えてみましょう。
メリットとデメリットをしっかりと把握し、周りの人に「気がつかれずにキレイ」を実現してみませんか?