【ミライデンタルクリニック監修】
「鏡を見るたび、前歯のすきまが気になる。」
「人前で笑うときに、つい口元を隠してしまう……。」
そんなすきっ歯のお悩みはありませんか?
じつは、すきっ歯は見た目だけでなく、発音や虫歯・歯周病のリスクにも関わることがあります。
この記事では、すきっ歯の原因・リスク・治療法・費用まで、歯科医師がわかりやすく解説します。
すきっ歯ってどんな状態?種類と原因を知ろう
「すきっ歯」と言っても、どんな状態か正確に説明できますか?
実は、すきっ歯にも種類があり、原因も人それぞれ違うんです。
まずは、すきっ歯の正式名称や種類、なぜできるのかについて、基本からわかりやすく解説します。
すきっ歯の正式名称と一般的な定義
一般的に「すきっ歯」と呼ばれているのは、歯と歯の間に隙間(スペース)が空いている状態の総称です。
歯科医療では、以下のように呼ばれています。
- 正中離開(せいちゅうりかい)
-
- 上の前歯(中切歯)の中央に隙間がある状態
- 最も目立ちやすく、「すきっ歯」として認識されやすい
- 上唇小帯の位置異常、遺伝、癖、顎と歯の大きさのアンバランスなどが原因
- スペースアーチ(空隙歯列弓)
-
- 歯列全体にわたって歯と歯の間に隙間がある状態
- 歯のサイズが小さい、顎が大きい、歯周病や舌癖などが原因
「空隙歯列弓」は「スペースアーチ」とも呼ばれ、どちらも同じ意味です。
それぞれ隙間の大きさは数ミリ程度の小さなものから、歯1本分ほどの大きなものまでさまざまです。
なぜ隙間ができる?すきっ歯の主な原因
すきっ歯になる理由はひとつではありません。
次のようなさまざまな原因が考えられます。
- 顎と歯の大きさがアンバランス
- 歯の本数が足りない
- 過剰歯がある
- 舌癖や指しゃぶりなどの癖
- 歯周病による歯の移動
- 子どもの場合(乳歯・生え変わり時期)
それぞれ解説します。
◾️ 顎と歯の大きさがアンバランス
- 顎が大きく、歯が小さい場合
- 歯の大きさは普通でも、顎が広い場合
このように歯の大きさと顎の大きさが合わないことで、隙間ができやすくなります。
遺伝的な要素も関係することがあります。
◾️ 歯の本数が足りない
もともと永久歯の本数が少ない「先天性欠如」の場合、歯が生えないスペースが残りすきっ歯になることがあります。
特に前歯の近くに欠如があると、見た目の印象にも影響します。
◾️ 過剰歯がある
本来生えるべき歯以外に、余分な歯「過剰歯(かじょうし)」が顎の骨の中に埋まっている場合があります。
とくに上の前歯の間に埋まっていると、歯がきれいに並ばず、隙間ができやすくなります(正中離開の原因に)。
◾️ 舌癖や指しゃぶりなどの癖
舌で前歯を無意識に押してしまう癖(舌突出癖)や、指しゃぶり、口呼吸などが長期間続くことも原因の1つです。
癖自体は小さな力だったとしても、その圧力で歯が動き、隙間ができてしまう可能性があります。
◾️ 歯周病による歯の移動(成人の場合)
歯周病が進行すると、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けてしまいます。
歯がグラグラと動いて歯並びが変わり、隙間ができてしまうことがあるのです。
成人のすきっ歯の原因として注意が必要です。
◾️ 子どもの場合(乳歯・生え変わり時期)
- 乳歯の時期に見られるすき間
- 前歯が永久歯に生え変わる時期のすき間
これらは、成長の過程で自然に見られるものです。
特に乳歯のすき間は、大きい永久歯がスムーズに生えるためのスペースであることが多く、心配いりません。
すきっ歯を放置したらどうなる?

「前歯に少し隙間があるくらい、気にしなければ大丈夫かな?」
そう思っていませんか?
実は、すきっ歯をそのまま放置すると、見た目だけではなく健康や生活にさまざまなリスクをもたらすことがあります。
とくに注意したいのは、次の4つのリスクです。
- 見た目のコンプレックス
- 発音への影響
- 虫歯・歯周病リスク
- 噛み合わせへの影響
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
①見た目のコンプレックス
まず考えられるリスクは、見た目のコンプレックスです。
すきっ歯による前歯の隙間は、笑ったときに目立ちやすいですよね。
見た目を気にしてしまう方は思い切り笑えなくなったり、人と話すときに口元を隠してしまったりと精神的なストレスやコンプレックスの原因になることがあります。
「自信を持って笑いたい、堂々と話したい……。」そんな気持ちを妨げる要因になるかもしれません。
発音への影響
次に、発音への影響です。
歯の隙間から空気が漏れることで、特に「サ行」や英語の「TH」音が発音しにくくなることがあります。
「話しづらい」「聞き取りづらい」と感じると、コミュニケーションへの不安やストレスにつながることもあります。
すきっ歯が原因で、コミュニケーションに支障を感じる方もいらっしゃいます。
虫歯や歯周病のリスク
歯と歯の隙間には食べカスが詰まりやすいため、歯磨きだけでは汚れを取り除くのが難しい場合があるため、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
隙間があることで歯ブラシが届きにくく、磨き残しが増えやすいため、しっかりケアしないとトラブルが進行しやすいのです。
噛み合わせへの影響
嚙み合わせへの影響も否めません。
歯に隙間があると、特定の歯に余計な負担がかかったり、全体の噛み合わせのバランスが崩れたりする可能性があります。
長期的には、顎関節への負担や、他の歯の歯並びにも影響を及ぼすケースが考えられるのです。
すきっ歯は「見た目の問題」だけではありません。
健康や生活に影響を及ぼす前に、早めに歯科医院で相談することをおすすめします。
ミライデンタルクリニックでは、すきっ歯の状態やご希望を丁寧にお伺いし、あなたに合った治療法や費用をご提案しています。
無理な勧誘はありませんので、まずはお気軽に無料カウンセリングへお越しください。
すきっ歯の治療法

すきっ歯のおもな治療法は4種類です。
治療法とメリット・デメリットを表にしたのでご覧ください。
治療法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
ダイレクトボンディング | 歯を削る量が少ない最短1日で完了する低価格 | 変色の可能性がある強度に限界がある |
ラミネートベニア | 審美性に優れている変色しにくい短時間で治療が完了する | 健康な歯を削る費用が高い |
セラミッククラウン | 大きな隙間にも対応できる強度がある審美性に優れている | 歯を削る量が多い費用が高い |
歯列矯正 | 歯を削る必要がない自然な仕上がり | 治療期間が長い費用が高い保定期間が必要 |
どの方法が適しているかは、隙間の大きさや原因、治療期間、予算、見た目の希望などで違ってきます。
治療法選びは自己判断できません。まずは歯科医師に相談し、お口の状態を正確に診断してもらうことが大切です。
代表的な治療法の概要とそれぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
ミライデンタルクリニックでは、カウンセリング無料。
どのような治療法がベストか、一緒に考えていきましょう!
ぜひお気軽にご相談ください。
ダイレクトボンディング(歯科用レジン)
ダイレクトボンディングは、隙間のある歯の表面にレジンという歯科用のプラスチックを直接盛り付け、光で固めて隙間を埋める方法です。
メリット | デメリット |
---|---|
歯を削る量が少ない。(全く削らない場合もある) 治療回数が少ない。(通常は1日で完了) セラミックに比べ費用が抑えられる 麻酔が不要なケースが多く、体への負担が少ない | 時間の経過とともに変色やすり減りが起きやすい 強度に限界があり、大きな隙間には不向き 天然歯のような透明感・ツヤはセラミックに劣る |
歯を大きく削る必要がないため、「歯をできるだけ残したい方」「短期間で治したい方」に人気の治療法です。
ラミネートベニア
ラミネートベニヤは、歯の表面を薄く削り、その上にセラミック製の薄いシェルを接着する方法で、歯並びや色、形を整える審美歯科治療です。
メリット | デメリット |
---|---|
自然な白さ・透明感で、見た目が非常に美しい セラミック素材なので変色しにくく、長期間きれいな状態をキープできる 歯の形やすき間、色味などを同時に改善できる 治療期間が比較的短く、2〜3回の通院で完了することも | 歯の表面を一部削る必要がある(不可逆的) 処置後に一時的な知覚過敏が出ることもある ダイレクトボンディングより費用が高い(自由診療) 強い衝撃で割れたり欠けたりすることがある 噛み合わせや歯ぎしりの強い方は適応できないケースも |
前歯のすきっ歯を自然に、かつ美しくカバーできるため、芸能人や人前に出る仕事の方にも選ばれている人気の治療法です。
セラミッククラウン(被せ物)
セラミッククラウンは、歯全体を削って土台を作り、その上にセラミック製のクラウン(被せ物、差し歯)を被せる方法です。
大きな隙間や歯の形・色の大きな違いもまとめて改善できます。
メリット | デメリット |
---|---|
大きな隙間や歯の形、色を改善できる 強度が高く、審美性が優れている 歯の向きも修正可能 | 歯を削る量が多い 処置後に一時的な知覚過敏が出ることも 神経処置が必要になることがある 比較的高額 |
セラミッククラウンは、美容的な面でも機能的な面でも高い効果が期待できる治療法ですが、治療の際はリスクや費用面も考慮する必要があります。
歯列矯正
歯列矯正は、装置を使って歯を少しずつ動かし、隙間を閉じて歯並び全体を整える方法です。
メリット | デメリット |
---|---|
歯を削らずに隙間を閉じられる 噛み合わせや歯並びも改善 根本的な解決ができ、自然で健康的な口元に | 治療期間が長い(数ヶ月〜数年) 装置が目立つことがある 違和感や痛みを感じる場合がある 比較的高額 後戻りを防ぐための保定装置(リテーナー)が必要 |
ワイヤー矯正とマウスピース矯正、部分矯正があり、いずれも根本的な解決を目指す方法なので自然な口元が手に入ります。

すきっ歯の治療期間とかかる費用はどれくらい?

すきっ歯治療を考えるとき、
「どのくらいの期間で治るのか?」「費用はどのくらいかかるのか?」
やっぱり気になるポイントですよね。
実際、治療法によって必要な期間も費用も大きく異なるため、あらかじめ目安を知っておくことが大切です。
一般的な治療期間目安
一般的な治療期間の目安と、通院回数をまとめました。
治療法 | 治療期間目安 | 通院回数 |
---|---|---|
ダイレクトボンディング | 1日(1時間程度〜) | 通常は1回の通院で完了 |
ラミネートベニヤ | 2週間〜1ヶ月半程度 | 型取りから装着まで2〜3回程の通院 |
セラミッククラウン | 1ヶ月〜3ヶ月程度 | 型取りから装着まで3〜4回程の通院 |
歯列矯正(部分) | 3ヶ月〜1年程度+保定期間 | 症例により異なる |
歯列矯正(全体) | 1年〜5年程度+保定期間 | 症例により異なる |
隙間の大きさや状態によって、治療期間や通院回数は変動します。
また、歯列矯正の場合は、治療後に後戻りを防ぐためのリテーナーを装着する保定期間が必要です。
1人1人違うので、詳しくは歯科医院でご相談ください。
費用相場と注意点
治療法別に費用相場をまとめました。
あくまでも目安なので、治療開始前に歯科医院で説明を受けてくださいね。
治療法 | 費用相場 | 備考 |
---|---|---|
ダイレクトボンディング | 3万~5万円程度 | ※1歯あたりの費用 |
ラミネートベニヤ | 5万~15万円程度 | ※1歯あたりの費用 |
セラミッククラウン | 10万円~ | ※1歯あたりの費用 (土台が必要な場合は別料金) |
歯列矯正(部分) | 10万~70万円程度 | 治療範囲全体の総額 |
歯列矯正(全体) | 60万~150万円程度 | 治療範囲全体の総額(ワイヤーやマウスピースなど装置の種類による) |
費用相場は治療法によっても変わりますが、歯科医院や地域などによっても違います。
なお、すきっ歯の治療は見た目の改善を目的とする「審美治療」です。
基本的に健康保険は適用されません。自由診療(自費診療)なので、治療費は全額自己負担が基本です。
乳歯と永久歯で違う!子どものすきっ歯の治療

お子さんの前歯に隙間があると、「このままで大丈夫?」と心配になってしまう親御さんも多いのではないでしょうか。ご自身のこと以上に気になるものですよね。
そんなお子さんのすきっ歯は、大人の場合とは少し考え方が違います。
乳歯の時期の隙間は心配ないケースが多いです。
ただし、注意が必要な場合もあるので詳細を見ていきましょう。
心配ないケースが多い乳歯のすきっ歯
乳歯の時期に見られるすきっ歯は、「発育空隙(はついくくうげき)」と呼ばれます。
診察してみないと判断できませんが、一般的に心配ないケースがほとんどだと言われています。
この時期の隙間は、後から生えてくる永久歯(大人の歯)のためのスペース確保のためです。
乳歯より大きい永久歯が生えてくる準備としての成長段階で、自然なことなんですよ!
むしろ、乳歯列期に隙間がないと、永久歯が生えるスペースが足りずに歯並びが悪くなる可能性があります。
また、上の前歯の永久歯が生え変わる時期に、一時的にハの字に正中離開が見られることがありますが、これも隣の歯が生えてくるにつれて自然に閉じることが多いです。
歯科では、「みにくいアヒルの子の時期」とも呼ばれます。
みにくいアヒルが美しい白鳥になるように、すきっ歯は整った歯並びに変化するということですね。
注意が必要なケースと相談のタイミング
乳歯時期は心配ないことが多い子どものすきっ歯。
しかし、注意が必要なケースもあります。
- 永久歯が生え揃っても隙間が大きいまま
- 指しゃぶりや舌で歯を押す癖がある
- 過剰歯(本来より多い本数の歯)がある
- 歯並びや噛み合わせに問題がある
- すきっ歯で大人の歯がなかなか生えてこない
このようなケースに当てはまる場合は、自己判断せずにかかりつけの歯科医院や矯正歯科に相談してみましょう。
小児の矯正治療は顎の成長を利用できる可能性もあるため、適切な開始時期を見極めることが大切です。
まとめ:すきっ歯は最適治療で改善しよう!

すきっ歯のお悩み、解決の糸口は見えてきましたでしょうか?
この記事で解説したすきっ歯の原因や治療法などを参考に、ご自身に合う選択肢をぜひ見つけてくださいね。